皆様、こんにちは。
第7期分子栄養学アドバイザーの
守島宏枝と申します。
私は看護師の経験を経て
現役保健師でもあります。
保健師の視点から、健康と栄養について
書いていきたいと思います。
近頃、日中は汗ばむくらいの
ぽかぽか陽気の日も増えてきましたね。
2月上旬頃から花粉シーズンがスタート
していて花粉に悩まされている方も多いの
ではないでしょうか。
毎年のように例年よりも飛散量が多いと
いう言葉を聞き、花粉を寄せ付けない
対策に注力されがちですが、私は栄養を
整えることで花粉症を発症しなくなりました。
万年、鼻たれの息子(現在5歳)も
今年は全く鼻水が出ていないことに気が付いたところです。
鼻や目の粘膜は代謝が早いので、
今からでも遅くありません。
炎症を助長するオメガ6の油を減らして
オメガ3の油を多めに摂ることで、オメガ3から
できるEPA由来の15-HEPEは鼻の粘膜で
好酸球が出す酵素によって作られ
アレルギーを抑えるという研究結果があります。
少し小難しくなりましたが、オメガ3の油で
あるえごま油や亜麻仁油、お魚を食べてみてくださいね。
来週からはいよいよ例年よりも早く桜の
開花も始まり、マスク着用も解禁され楽しみが増えますね。
さて、今回は「血圧って?低血圧と高血圧の
注意すべきこと」について深堀しきたいと思います。
まず、血圧とは心臓から送り出された血液が、
動脈を通って全身に送られる際に加わる圧力のことです。
いわゆる上の血圧は心臓が収縮したときに
血管に加わる力で「収縮期血圧」、
下の血圧は心臓が拡張したときに血管に
加わる力で「拡張期血圧」と呼びます。
高血圧とは、血圧が正常範囲を超えて高く
維持されている状態のことを指し、
高血圧自体の自覚症状は何もないこと
が多いが、虚血性心疾患、脳卒中、
腎不全などの発症原因となるとされています。
生活習慣病の中では男女ともに最も
通院者率が高い疾患となっています。
低血圧とは、血圧が正常範囲を
下回っている状態であり、全身に十分な
血液が供給されなくなり、結果的に細胞は
十分な酸素や栄養素を受け取れず、
老廃物も除去できなくなります。
日本には高血圧の基準はありますが、
低血圧の基準は明らかにされていません。
2019年より高血圧の基準値が
少し厳しくなり、
従来は上の血圧140mmHg
未満かつ90未満でしたが
現在は上の血圧130未満かつ
下の血圧80未満に変わりました。
しかも、これは診察室血圧の値で、
家庭血圧はさらに厳しくなっています。
参照:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より
低血圧はというと、
WHOによる世界基準では
上の血圧100以下、下の血圧60以下を
低血圧と定義しています。
日本人の1/3~1/4の方が高血圧を
患っており、高血圧を放っておくと
動脈硬化が進みやがて
心臓病(心筋梗塞、狭心症など)や
脳卒中(脳梗塞、脳出血など)の重大疾患に
繋がるため、一般的にも認知され多くの方が治療をされています。
一方で、低血圧は若い女性に多く、
症状も不定愁訴的なものが多いため
あまり治療をされている方が少ないのが現状です。
健康診断では毎回、
「血圧測定」があります。
高血圧にはいくつか種類があり
白衣高血圧・・・最近は白衣は 少なくなりましたが、白衣(医療機関や 医師、看護師など)を見た際に緊張して 一時的に血圧が上昇する
持続性高血圧・・・診察室でも家庭でも 基準値を上回る場合(白衣高血圧と 言われてから5年以内に3割の人が 移行するとも言われている)
仮面高血圧・・・早朝高血圧と呼ばれる 起床時に血圧が急激にあがるタイプと 夜間高血圧と呼ばれる就寝中に 血圧が下がらないタイプがある
その他、仕事中のストレスによる
職場高血圧と呼ばれるものもあり、
心臓病や脳卒中のリスクがあるものもあります。
低血圧にも種類があり
急性低血圧・・・怪我などによる出血や 心臓などの病気が原因で起きる
慢性持続性低血圧・・・原因不明で おこる本態性低血圧やホルモンなどの 病気でおこる二次性低血圧
起立性低血圧・・・急に立ち上がった 瞬間にたちくらみが起こるもの (自律神経の障害の場合が多い)
食後低血圧・・・食事を摂ることで消化に 必要な血液が内臓に集まり起こる、高齢者に多い
家庭ではリラックスした状態で
測定できるため、より正しい血圧の
状態を知ることができます。
おススメの測定の方法は、
朝と晩の2回測定をする
同じ時間、同じ血圧計を使用する
朝は、起床後トイレで排尿を 済ませた後、朝食を食べる前に
晩は、夕食・入浴を済ませた後、 就寝前に
手首タイプではなく上腕タイの血圧計が推奨
是非、家庭血圧を測ってみてくださいね。
次に血圧と栄養対策についてです。
高血圧には、「減塩」という言葉は
良く耳にするかと思います。また、高血圧を
予防するためにはカリウムの多い食品を
摂りましょうとも言われます。
ナトリウムとカリウムはブラザーイオンと呼ばれ、
お互いに強調し合って働いています。
また、食べた食塩(ナトリウム)に反応して
血圧が上がることを食塩感受性が高いと言います。
日本人の約4割の方が食塩感受性が高く、
塩分を控えてカリウムを多く摂ることによって
血圧が低下すると言われています。
食事のポイントは
お塩を購入する時には、 海塩(ぬちまーすや雪塩など他の ミネラルの多いものを選ぶ)
お料理にはこんぶやかつおぶしなどの 天然食材で出汁をとり、うま味を味わう
香辛料・香味野菜(ゆず、しそ、 ねぎなど)を上手に活用する
新鮮な野菜や果物を食べる(抗酸化対策、 カリウム補給に)
魚介類を食べる(オメガ3のあぶらは血圧を 下げる効果がある)
豆類やナッツを食べる(食物繊維や ポリフェノールは動脈硬化予防)
気をつけるものは
加工品やファーストフードを控える
アルコールの飲みすぎに注意する
菓子パンやスナック菓子を控える
などです。
低血圧は、特に若い女性は自律神経や
ホルモンが影響していることが多いのではないかと思います。
男性に比べて筋肉量が少なく元々血液を
心臓から全身に送り出す力が弱い上に、
さらにダイエットや運動不足、月経などに
よって低血圧のリスクが高まります。
偏った食事による栄養不足が長期化すると
エネルギー不足から甲状腺機能の異常にも
繋がる場合があります。
女子大生を対象とした調査では、
体重が少ない傾向
甘い飲料など手軽に摂取できるものを 摂っている
ミネラル・ビタミン、食物繊維などが 大きく不足している
肩こり、朝起きづらい、運動不足
などと関連性が示されています。
食事のポイントは
血液の原料となる良質なタンパク質 (毎食20g)をベースとした3食しっかり食べる
食事と食事の間に補食をする(甘い お菓子やジュースではなくおにぎりやスープ)
味噌汁やお漬物、魚の塩焼きなど 和食中心にして塩分を効率よく摂る
代謝に必要なタンパク質、ビタミン、 ミネラルを意識して摂る
健康診断では、
低血圧の女性がとても目立ちます。
20代の頃の私もそうでしたが、多くの
若い女性が痩せ願望やダイエット志向を
持っていて、痩せる必要のない人まで
偏った食事や極端なダイエットを繰り返しています。
自分の将来には、骨粗しょう症になる
リスクが高まるという問題がありますが、
低出生体重児のリスクという子どもの
将来にも悪影響が及びます。
私自身、不妊治療が奏効せずにとても
苦しい思いをしました。
厚生労働省が制定している、一次予防の
観点から健康増進を測るための国民運動
「健康日本21(第二次)」では
肥満度(BMI)が18.5未満の
「やせ(低体重)」20%を上回っており
目標達成に至っていません。
先日出版された、安藤先生の著書
「オーソモレキュラーダイエット」本を読んで、
さらに妊娠前の女性には、
妊娠に気づいてからではなく、
妊娠する前からの健康的な体づくりを
普及する必要があると感じました。
外見や体の重さだけではなく、
美しさには筋肉量も大切です。
「健康的に痩せる」ためには、
運動や睡眠などの食習慣以外の
生活習慣の改善も併せて
行うことで、基礎代謝が上がるだけではなく、
血流が良くなり、骨を守り、美容面でも
効果があるということが普及していって欲しいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
次回は、乳がん検診について書きたいと思います。