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オーソモレキュラーアカデミー

分子栄養学ブログ

セミナー報告や当協会認定の分子栄養学アドバイザーによる分子栄養学ブログをお届けいたします。

執筆者の写真守島宏枝

保健師の視点でみる胃の中って?~胃カメラを深堀~

皆様、こんにちは。

第7期分子栄養学アドバイザーの

守島宏枝と申します。


ご挨拶が遅くなりましたが、

今年もどうぞよろしくお願い致します。


世間では、コロナ第8波で落ち着かない

日々が続いておりますね。

インフルエンザとコロナウイルスの

2つのウイルスに同時感染する

「フルロナ」の報告例が増えています。

単独感染よりも重症化しやすいようです。

手洗いや消毒・マスクなどの感染対策も

大切ですが、何より自分の免疫力を

高めるためには、規則正しい生活、

バランスのとれた食事、十分な睡眠で

感染予防をしていきましょう。



さて、本題の「保健師の視点でみる

胃の中って?~胃カメラを深堀~」

入っていきたいと思います。


私の経歴の中に以前、内視鏡室ナース

として胃カメラや大腸カメラ、内視鏡下の

治療等に携わった経験があります。

そして、保健師として企業で働く方々の

健診結果(もちろん胃カメラの所見も)を

たくさん見てきました。


今回は、胃カメラを通して、口の中から

胃、十二指腸までを分子栄養学的

視点からもお伝えしていきたいと思います。


皆さんは胃カメラをされたご経験は

ありますか?

胃カメラ(胃内視鏡検査とか

上部内視鏡検査とも言われます)は、

経口内視鏡(口から)と

経鼻内視鏡検査(鼻から)があります。


今回は経口内視鏡の方を中心に

お話します。

内視鏡をするときに喉に麻酔をしますが、

これがキリッと苦くて私は苦手です。

喉に麻酔をすると唾液でむせ込むため、

飲まないでくださいとお伝えするのですが、

「お若い人ほど唾液の分泌がよい」と感じます。


実際に唾液の分泌を調べると30歳頃が

ピークで1日に1~1.5Lもの唾液を

分泌しているそうです。

口から胃カメラをする際には、唾液を

飲み込めず口から赤ちゃんの

よだれのようにダラダラと出さなくては

いけないと思いますので、

自分の唾液の分泌って

沢山出ているのかな?という視点で

検査を受けてみるのも良いかもしれません。


胃カメラでは、咽頭や声帯を確認してまず

食道の方に入っていきます。

カメラの精度も上がり声帯ポリープや

咽頭のできものを発見することも増えてきています。


食道では、ほとんどの方に

「食道裂孔ヘルニア」「逆流性食道炎」

いう所見を目にします。



食道裂孔ヘルニアとは、

肺と腸などの内臓を分けている

横隔膜があり、横隔膜には

血管や食道が通る穴が開いていて、

食道は横隔膜を通りその下に

胃があるのが本来です。

加齢や生活習慣の影響で胃と

食道を結んでいる吻合部が

横隔膜の上へと押し出された状態です。


原因としては腹圧がかかって

胃が押し上げられること


  • 肥満

  • 妊娠

  • 喫煙

  • 気管支喘息などの慢性的な咳

  • 生まれつき横隔膜の穴が大きい

  • 加齢により横隔膜の穴が広がる


暴飲暴食や、SIBOでのお腹の張りも

影響する可能性があります。


引用:https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/hiatal_hernia/




食道裂孔ヘルニアがあると、

逆流性食道炎を起こしやすいことも

分かります。

  • 朝起きた時に苦味を感じる

  • 前かがみになると胸やけがする、 胃酸の逆流を感じる

  • 重いものを持ったりお腹に力を入れると 焼けるような痛みがある

  • 横になると胃酸が逆流して眠れない

  • 胸やけがして目が覚める

など


食道にしてみれば、本来胃酸が上がって

来るはずもないところに胃酸があるわけです

から、食道の粘膜が弱くなってしまって

大変です。

食道の弱った細胞が変異して癌に

なりやすい「バレット食道」になることも

あるので要注意です。


引用:http://www.minamiosaka.com/end_surgery11/


胃で多いのは、「ピロリ菌感染」

「萎縮性胃炎(慢性胃炎)」「表層性胃炎」

を目にします。

ピロリ菌未感染の胃は、画像でみると

胃粘膜が滑らかで光沢があり、胃液も

サラサラしている感じです。胃は縦に

細いヒダが真っすぐに伸びています。

一方、ピロリ菌感染があると胃がむくんで

いるような、縦ヒダも大きく伸びていて

赤い点状の発赤が見られます。

ピロリ菌除菌後の萎縮がある方も縦ヒダが

ベローっと伸びて粘膜が薄くなり血管が

透け表面が凸凹して見えます。

胃がんの発症率が上がるというわけです。


症状としては

  • 食後のムカムカ

  • 胃もたれ

  • 食欲不振

  • 胃のチクチクした痛み

  • 空腹時や夜間の胸やけ

などがみられます。


十二指腸は、「十二指腸潰瘍瘢痕」

くらいでしょうか、健診ではあまり所見を目にしません。


十二指腸は指12本を横に並べた長さに

由来したと言われており(実際はそれより

長い)、胃は縦ヒダでしたが、十二指腸は

輪状に横ヒダが見られます。

ファーター乳頭と呼ばれる胆汁や膵液が

出でくる入り口が確認できます。


栄養をどんなに改善しても、

改善がイマイチという場合には、

このような所見がみられることがあるので

胃カメラを受けてみるということもおススメです。


もう一つ、私は分子栄養学を学び

おススメしたい検査があります。以前までは、

胃カメラで直接「胃」を見るのだから、

ABC分類検査という胃がんリスク層別化

検査という胃の健康度を調べる検査は

必要あるの?と疑問を持っていました。

しかし、分子栄養学で胃酸や

消化酵素のことを学び、胃カメラだけでは

分からないこともたくさん見えてきました。


ABC分類とは、血液検査でピロリ菌感染の

有無と胃の粘膜の萎縮程度を調べ、

胃がん発症リスクの度合に応じてABCDに

分類・判定する検査です。

この検査では、ピロリ菌感染だけではなく、

消化酵素ペプシンの前駆体である

ペプシノーゲン(PG1・PG2)が検査できます。


上記のような所見が見られる方は、

胃酸過多が影響してさまざまな症状を

起こしているんだと一見みえますが、

このABC分類をすることで

  • 胃酸が少ないことによって、消化が 上手くいかずに胃酸が逆流して 逆流性食道炎を起こしている可能性

  • ピロリ菌感染が起きていることによって 胃酸が薄まり炎症を起こしている可能性

など「胃酸が少ない」ために

起こっていることが意外に多いです。


実際、私は胃カメラの所見に

「逆流性食道炎」「食道裂孔ヘルニア」

ありました。

ABC分類でもA判定で喜んでいるのも

つかの間、ペプシノーゲンを見てみると、

PG1 28.2ng/ml PG2 5.3ng/mlと

とても低いことが判明しました。


胃酸抑制剤をむやみに使うと、

さまざまな症状を引き起こしてしまうこともあります。


胃酸は、食物を消化するだけではなく、

口から入ってきたウイルスや細菌などを

除菌する役割もあります。

胃酸でタンパク質の分解が上手くできずに

未消化物が増えると、アレルギー症状を

起こしやすくなります。鉄や亜鉛などの

ミネラルもイオン化が上手くいかず

不足してしまうことも考えられます。


消化管は口から腸まで一本の管で

繋がっています。


一番最初にある「口」ってしっかり

考えたことはありますか?

腸活はよく耳にすると思いますが、

私は「口活」の重要性を感じています。


唾液のPHは6.8~7.0、食べ物の大半は

唾液よりも酸性です。

胃酸はというとPH1~2、食事を摂ると

通常4~5へ上がり食後2~3時間で戻ります。



口の中は酸に傾くことで虫歯菌や

歯周病菌の増殖に関係します。

虫歯菌の住みやすいのはPH5~5.5、

歯周病菌は6.0で生息し、ピロリ菌と

同じように自分の住みやすいように

バイオフィルムを形成し生息しやすい環境を

作っているそうです。


近年は、虫歯菌や歯周病菌が

血液の中から検出されたり、

虫歯菌による潰瘍性大腸炎になる

リスクが4倍に増えるという問題もみられます。


虫歯菌や歯周病菌が口腔内の傷や

歯茎から侵入するだけではなく、

胃酸の分泌が少ないことにより体内に

容易に入ってくるということも示唆されています。


口と胃ケアの対策としては、

なるべく口の中は酸に傾かないように

すること、食事中は胃酸をフォローすることが

大事です。

  • 食事中はなるべく水分をとらない

  • 胃酸の分泌を促すレモンやお酢、 梅干し、クエン酸など酸味をプラスする

  • ひとくち30回以上よく噛んで食べる

  • 食後は重曹水(PH8.5)でうがいする

  • アルカリイオン水(PH9-10)を食後に飲む

など、口の中は中性に戻し、

胃の中は酸性に保つことが大切です。

皆さんも是非、口活を意識してみてください。


定期健康診断は働いている方なら、

労働安全衛生法で1年に1回義務付けられています。

協会けんぽに加入の方は

35歳以上~74歳の方なら生活習慣病健診

を健診費用の一部を負担して受けられますし、

他の健保組合でもさまざまな補助が活用できると思います。

是非、胃カメラやABC分類も受けてみてくださいね。


次回は、健康診断結果を深読みしていきたいと思います。

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