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オーソモレキュラーアカデミー

分子栄養学ブログ

セミナー報告や当協会認定の分子栄養学アドバイザーによる分子栄養学ブログをお届けいたします。

執筆者の写真北野香苗

妊娠期へのアプローチ〜「消化力」、そして「補食」

こんにちは!

6 期アドバイザーの北野です。

 

これまでの仕事の中では、

定期的に妊婦さんの食事についても

お話しさせて頂きました。


今回も、その中で伝えていたことや

感じていたこと等を記していきたいと

思います。

 

 

【話していた内容】

 

◉生活リズム、体内時計

◉一般女性、妊婦、授乳中女性の食事目安量

◉食事バランスを整えるポイント

◉朝ごはんについて

◉野菜の取り方について

◉間食(補食)について

◉妊娠糖尿病、鉄欠乏性貧血、

 妊娠高血圧症候群予防の食生活のポイント

 

食事の中身をお話しする前に、

生活リズムの話として、一日のリズムの1つに

食事があるということ、生活リズムを

意識することの大切さをお話ししていました。

 

どんなに食事で"良い"といわれるものを

取り入れても、生活リズムが

不規則だったりすると、

食べたものが、うまく消化吸収されない。


食べたのに、体の栄養としてうまく使われない。

非常にもったいないです。と。

 

そこで、

1日の流れを想像してもらいながら、

大体の時間(起きる時間、朝昼夕ごはんの時間、

活動する時間、間食の時間、寝る時間など)を

朝から寝るまでを順に確認し、

まずは意識することをお願いしていました。

 

とはいっても、ロボットのように

毎日がうまく進むわけではないし、

妊娠中や出産後はうまく眠れなかったり、

気づいたら時間が過ぎていたりすることも多いので、

意識する習慣をつけること、

昼(積極的に活動する)と夜(できるだけ体を休める)の

メリハリをつけることから始めるだけでも大切です、と。


【もともとの生活リズムの乱れ】

 

先程の内容を話すにあたり、冒頭で生活リズムの

話をする理由としては、もう1つあります。

 

妊娠中は特にしょうがない部分もあるかもしれませんが…

参加者の中には

①朝起きる時間がバラバラ(なかなか起きられない)

②朝ごはんを食べていない(もともと食べる習慣がない)

③寝る時間が午前2時や3時を過ぎる

 

という方が一定数いたからです。

教室に参加してくれる方の中だけでも、

それだけいるということは、一般的には

もっともっといるんだな。

と感じていました。

 

まぁ…

年齢が若いうちは特に生活が乱れて無理をしていても

気にならないんですよね。体が動いてくれるので…

 

また、そもそも生活リズムが乱れている方は

朝起きたくても起きられない、食欲がない、

眠れない、という意識だけでの改善が

難しい方がほとんどかと思いますが、

 

生活リズムを意識できているのと

できていないのとでは、出産後、子育てを

していく過程で前回のブログでも書いた内容(※)

に繋がると考えており、

「今まだお腹の中にいるうちに、意識してほしい」と

冒頭で伝えることとしていました。

 



【そもそも量を食べられない方が多い】

 

日本人の食事摂取基準より、

一般女性、妊娠・授乳中の女性の

1日に必要な栄養の量の基準値も示されています。

 

また、食事バランスガイドを参考にして、

主にエネルギー源となる炭水化物を例にとると、

一般女性(18〜49歳)では、

ご飯だと1日500〜700g(1食約160〜230g)が

1日の目安量として示されています。


しかし、実際にはどうでしょうか。


1食約160gはご飯茶碗1杯分ですが、

1日3食でその量を食べると「体重が一気に増えてしまう」

「そんなにたくさん食べられない」「朝は無理」

「夜なら食べられる」という方が多く、

1日"3食"しっかり食べられている方を見かけることが

ほぼありませんでした。


正直にいうと、実は私も6年前までは同じ感想を

抱いておりました。

(1日3食は欠かさず食べるけれど、1食の量が少なめでした)


そのため、理想的な食事例をお伝えして、

お腹の中の赤ちゃんのためにも食べることが大事ですと

言ったところで、頭で理解してすぐに理想の食事を

実践できたとしても、そもそも食事をちゃんと

食べられない方が多いので続かないよなぁ…

と常々感じていました。



【食べられる体にする、そして産後も楽になる】

 

もともとの食事量、特に炭水化物量が極端に少なすぎると、

体に必要なエネルギーが足りません。

 

エネルギー=からだを動かすということは、

脳頭手足を動かす、と思いつくかもしれませんが、

そもそもの食べたものが体の"内"に入るための

大切なプロセスを、ほとんどの方が認識されていません。

 

『食べたものを消化・吸収する』

 

さまざまな栄養を考えて食べても、

エネルギーが足りなければ、

消化吸収が上手くいかないし、

エネルギーが足りなければ、

エネルギーを作るために体のタンパク質が

どんどん使われてしまいます。


逆にエネルギー源となるものを

たくさん摂っても、他の栄養素が足りなければ、

効率よくエネルギーが生み出されません。


既に食欲がない、胃痛がある、

便秘等がある場合は消化吸収が

上手くいっていないサインです。

 

また、女性はやはり栄養素が不足しやすく、

さらに妊娠中で栄養需要が

増している時期ということで、

〈常にお腹が空いている状態〉となります。

 

お腹が空くから、食事以外で

甘いものなど食べやすいものを食べる

  ↓

血糖値は急激に上昇下降するし、

体に必要な栄養素も足りないので消化力は弱まり、

代謝も非常に悪く、体は省エネモードに。


体に蓄えようとして体重だけが増えるから、

食事を減らすか野菜ばかりを食べようとする。

そしてより栄養不足となる。

甘いものが欲しい…


もう悪循環ですね。

 

なので、甘いものが食べたくなった時、

「私、甘いものがやめられないんだよね〜」ではなく

        ↓

体が栄養を求めている!!

というキーワードを思い出して欲しい。

食べるのをひたすら我慢したり、

良いと言われるのを無理して食べるのではなくて、

今の自分に合った食べ方や選び方に変える

“きっかけ”として欲しい。

 

そのことが、食べられる体づくりの第一歩!

産後の体、子育てが楽になる第一歩!

 

 

【消化力~日々の消化サポートが大事】

 

私が妊娠中、特につわりの間は

”げっぷ”が止まりませんでした。


今考えると、うまく消化できておらず、

体内でガスが発生していたのだと思います。

 

また、朝は食欲がない、不規則な生活リズム、

便秘である方も消化力が低下しています。

教室に来られる方の少なくとも3割の方は自覚がありました。

 

そのため、普段の食事では、

・よく噛んで食べる

・酸味のもの(酢の物、梅干し、レモン汁)

を意識することが消化力、胃腸機能サポートとなり、

その基本的なことが妊娠糖尿病予防、

妊娠高血圧症候群予防のポイントの

1つでもあることを伝えていました。

 

参加者の表情を見ると、特に「よく噛んで食べる

という当たり前の事が、意外と忘れて

しまっている方が多い感じでした。

 

 

【おやつ=補食】

 

乳幼児のお話では、必ず出てくる『補食』

大人の認識が、おやつ=甘いものやスナック菓子や

ジュースとなっているし、毎日それらをおやつとして

食べているお子さんや与える親の習慣を変えるのは、

強い意志がないと難しいです。

 

そのため、妊婦さんへの話の際に、

おやつ=補う食事『補食』のことを伝えます。


考え方を変えるだけで、今後の自分の体、

お子さんの体が変わる。

補食は、今でこそよく聞く言葉になってきましたが、

頷く方が非常に多いため、

もっと当たり前にしていく必要を感じていました。

 

私は、甘いものやお楽しみを

決して食べてはいけない、と言っているわけではなく、

体調良く自分が楽しく過ごし

お楽しみを思う存分楽しむ』ために、

日頃の普通の日常で自然に栄養を

補給して欲しいと考えています。

 

 

ですが…

【栄養が満たされると、驚くほどに欲しくなくなる】

 

私が長女を妊娠・出産したときは、

3食の食事"バランス"は気にしていましたが、

3食以外のものはそれほどまで気にしていませんでした。

 

なので、出産前も出産後も、

一般的によくいる<甘いものは別腹>な人でした。

 

次に、次女を妊娠・出産したときには、

3食以外で食べていた甘いものを、

食事の余りやおにぎり、具材入りのパン、

グラノーラなどを食べるようにしていました。

 

するとどうでしょう。

甘い匂いに誘われない自分がいることに、

ふと気付きました。

食べなくても平気な自分。


不思議で驚きました!


また、おかずや補食での栄養プラスが

習慣づいたために代謝が良くなったのか、

授乳期間が終わった後でも1日3食しっかり

お茶碗1杯分のご飯を食べても、

以前みたいに体重が増えなくなりました。


あと1つ気づいたことは、朝スッキリ起きられる、

食後に眠くならない!!ということ。

エネルギーや栄養が満たされることで、

様々なホルモン分泌が整い、

血糖値の上昇降下が落ちついたからかと思います。

 

このような自身の体験もあり、

妊婦さんの講話では、

食事ですぐに理想的な食事が難しくても、

補食の考え方や消化に良く

ちょい足ししやすい食材からでも、

日常に取り入れて欲しいこと、

そのことが冒頭でお伝えした生活リズムを

整えることに繋がると力説していました。

 

とはいえ、ずっと甘いものを欲さない状態が

続くわけではなく、生理が近づくと

無性に食べたくなるし、ひたすら眠くなります!


そんな自分の変化にはすごく気付きやすくなり、

必要な栄養を補給するサインとして、

非常に役立つなぁ、と毎度実感します♪



【食べることを楽しみの1つにしてほしい】

 

本来、食事は楽しみながら食べる時間としてほしいです。

 

こころやからだの栄養のことを知れば知るほど、

『どうにかして食べなきゃ』

『栄養補給できず不安』

『これは良い、あれは駄目』

などと神経質になってしまうことがあります。

 

これは、体にとってはストレスです。

妊娠中だとなおさらストレスは避けたいです。

出産後にお子さんの食事で神経質になりすぎて

楽しめない方も多く見てきました。

せっかく良くしようとしているのに、

周囲の人とも関係が悪化したりと、本末転倒です。

 

食生活や食習慣を変えても

すぐには変化がないので非常にもどかしいですが、

「おいしい」「食べて体は満足してる」

「誰かと食べられて楽しかった」

「明るい声でいただきます/ごちそうさま」など、

前向きな言葉を発してみることも良いのでは、

と思っています。

 

また本来、体の中の臓器たちが頑張って

働くことで、体にとって必要ないものは

便で排出されるようになっています。

あの食品は駄目これも駄目、などではなく、

肝臓や腎臓などの臓器たちを労わる

基本的な食事の取り方を意識して、

日頃から機能を高めていく土台作りが

大事だと思っています。

 

☑︎とにかく朝ごはん習慣

☑︎食事と食事の時間が開きすぎる時は補食をとる

☑︎よく噛んで食べる


などできることから、少しずつ、

まずは土台づくりを大切に、自分の体を信じて。


食べることを楽しみながら、

栄養補給していけるといいなと思います。

 

悪阻や体が徐々に重くなるなどの身体の変化、

ホルモンなどの影響でこころの変化、妊娠出産は

状態が大きく変わって戸惑うことも多いですが、

栄養が満たされ、子育てを楽しめる家庭が

どんどん増えるための手助けを、

これからも続けていけたらと思います!

 

最後までお読みいただきありがとうございました!


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